80年代アニメを知りたい! 伝えたい!

主に1980年代に制作されたアニメや関西で行われるイベントについてを20代の若造の視点で書いていこうと思います。

ついに入手!幻の80年代アニメ雑誌「BREAK・TIME」アニメ会社の裏側📏

どうも、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』が映画館で観れるイベント「GG映画祭」が延期になり立ち直れないSATAトミオです

ビューティフル・ドリーマー』を映画館観る為に、年末年始コツコツと『うる星やつらTVシリーズを観ていたワケですがホントに残念でしかありません…

中止ではなく延期だという所に、一縷の望みを持ちいつか映画館で観れる日を待ちたいと思います

 

 

ここで一つ報告があります

ついに、長年追い続けていた幻の80年代アニメ雑誌BREAK・TIME(ブレーク・タイム)」を入手しました!

f:id:satatomio:20210117033500j:image

「BREAK・TIME」の存在を知ったのはアニメ雑誌に興味を持ち始めた2019年の5月、それから約1年半…ネットオークションに張りつき続け、競り合いに負けながらの念願の獲得であります

 

おそらく、この記事を見てくださっている方の半数以上が初耳だと思われる謎のマイナー80年代アニメ雑誌「BREAK・TIME」…

どんな内容か気になりませんか?

 

ということで今回は、幻の80年代アニメ雑誌「BREAK・TIME」の紹介をしていきたいと思います

まだ誰も取り上げていないであろう「BREAK・TIME」…そこには当時発売されていたアニメ専門雑誌とは決定的な違いがあるのです

 

アニメスタッフが作る業界誌

まず「BREAK・TIME(ブレーク・タイム)」が発売されていた80年代のアニメ雑誌事情について説明します

 

1980年代というのは、「宇宙戦艦ヤマト」や「機動戦士ガンダム」らの社会的ヒットによりアニメブームが到来した時代でした

そこで、アニメを専門に取り扱った雑誌【アニメ専門雑誌】が続々と登場し、アニメーターや監督などのアニメクリエイターが注目を集めていくようになります

1985年には、学習研究社角川書店などの大手出版社の参入もありアニメ雑誌最大8誌刊行される【アニメ雑誌戦国時代】を迎えるのでした

(「月刊OUT[1977]」「アニメージュ[1978]」「アニメック[1978]」「ジ・アニメ[1979]」「マイアニメ[1981]」「アニメディア[1981]」「月刊ニュータイプ[1985]」「アニメV[1985]」、計8誌[創刊年度])

その後アニメブームも低迷し、最大8誌刊行されていたアニメ雑誌も休刊されていき現在も刊行され続けているのは、アニメージュアニメディア月刊ニュータイプの僅か3誌のみ…それだけ生き残るのが難しかったというわけです

その中には、小さな星のごとくわずがな輝きだけを残して静かに歴史の幕を下ろしたアニメ雑誌もあったわけです…その内の一つが「BREAK・TIME」であります

80sanime.hatenablog.com

 

ここからは「BREAK・TIME」の基本情報を紹介していきますが、その前に一つ

この「BREAK・TIME」というアニメ雑誌実は、いつ創刊されて何号まで刊行されていたという情報も曖昧であり、そもそも一般的な書店で売られていたのかも怪しいかったりします

Wikipediaも存在しないぐらい、実態は謎に包まれている幻のアニメ雑誌なのです


というわけで、今回は私が一年半かけて調べた情報を書いていきます


「BREAK・TIME(ブレーク・タイム)」は、【アニメスタッフが作る業界誌】をキャッチコピーにした雑誌であり、新作アニメ情報よりもアニメスタジオの紹介やアニメ会社への就職情報などを中心に掲載されています(略称はBT)

本誌の制作・編集をしていたのは、当時主にタツノコプロ制作のアニメに参加していた「スタジオワールド」というアニメ制作会社(1988年解散)

アニメ制作会社が作る業界誌というだけあってディープな誰得情報も多く、故に80年代アニメを愛し広く知りたいと思っている私としては大変ありがたいアニメ雑誌です


現在、確認できている「BREAK・TIME」の発行号数は全部で6号まで

入手した情報によれば本誌は季刊誌であり、NO.1が創刊されたのはおそらく1984年夏頃だと思われます

そして、今回私が入手したのはNo.③の『魔法の天使 クリィミーマミ』が表紙の号です

f:id:satatomio:20210117034008j:image

「BREAK・TIME(ブレーク・タイム)」表紙リスト

No.① 不明 1984年夏頃

No.② 幻夢戦記レダ 1984年秋頃

No.③ クリィミーマミ 1985年2月(冬)発行

No.④ キャッツアイ 1985年5月(春)発行

No.⑤ ミンキーモモ 1985年8月(夏)発行(創刊一周年)

No.⑥ アリオン 1985年秋頃

 (No.⑥以降も刊行されていたかは不明)

 f:id:satatomio:20210116232530j:image

 
ここからは、今回私が入手したNo.③を元に「BREAK・TIME」の内容を紹介していきます

 

クリィミーマミ』を誤表記するアニメ雑誌

今回紹介する『魔法の天使 クリィミーマミ』が表紙のNo.③号では、『クリィミーマミ』を制作したスタジオぴえろが特集されております

f:id:satatomio:20210116233718j:image

時々『クリーミィーマミ 』や『クリーミーマミ』といった鉄板の伸ばし棒誤表記があるのはアニメ雑誌としてはいただけませんが、スタジオぴえろのファンクラブ会報誌などが紹介されていて楽しい記事になっておりました

f:id:satatomio:20210116233613j:image

(正しくは『クリィミーマミ、魔法のステッキは一本だけと覚えましょう♪)

80sanime.hatenablog.com

また、インターナショナルスクールに通う子ども達に人気作品とキャラクターのアンケートを取った記事や血液型から自分の向いているアニメ業種がわかる記事もあります

 

80年代アニメ業界の裏側に迫る

「BREAK・TIME」では「楽屋通信」という記事で、普段見れないアニメーター又はアニメスタジオの様々な実態が紹介されています

私が注目した記事の内容ちょっと書いてみましょう

 

スタジオにもモーターサイクルの波

f:id:satatomio:20210117012725j:image

最近、疲れたアニメーターが増えてきている。と始まる本記事…

この記事では、アニメスタッフ達にモーターサイクル(オートバイ)のブームが到来したと書かれています

モーターサイクルブームは"金田パース"などで知られる伝説のアニメーター・金田伊功さんを教習所で見かけられる程のブームであり、それほどまでに盛り上がっていったと語られています

しかし冬のシーズンになると、アニメスタッフにとってモーターサイクルは大きな脅威となり、寒さの副作用から手が震えて出社1時間は仕事ができない問題が発生

そして、事故をして怪我したら仕事が出来なくなり、ただバイクを持った貧乏人になると問題提起もされております

 

制作の車が夜の街に疾走!

f:id:satatomio:20210117012641j:image

この記事では、アニメの作画されたカット袋を回収する制作進行の社用車の特徴が書かれていました

中々に面白かったので文面をそのまま紹介します

まず車種。たいがいあのヤング向けファミリーカーの代表ファミリアかスターレット

スピードが出て燃費がいいという、うってつけの車だ。

色は白、黄色、青が主流。黒、グレー、紺色など気持ちを落ち込ませるおそれのある色は御法度となっている。

タイヤは激しいコーナーリングのためすり減っている場合が多く、アルミホイールなど絶対にない。左フェンダー(ウィンカーのへん)や左右のドア後ろのバンパーなどぶっつけている。

窓には放映中の作品のステッカーが貼ってあり、そのガラスはあくまできったない(ウォッシャー液もきれている)。

ドアのへっこみと重なって〇〇プロダクションもか、スタジオ〇〇〇〇と書いてあることもある。「BREAK・TIME」No.③ p.14より

当時から制作進行の主な仕事は作画されたカット袋の回収であったと記されており、デジタル作業が増えてデータでやり取りしている現代よりも1980年代は制作カーを爆走させていたことが想像できます

 

給料前と給料後⁉︎

f:id:satatomio:20210117012624j:image

アニメスタッフにとっての待ち遠しい日といえば給料日であり、給料日を迎えて喜ぶのはどの業界も同じであると紹介されていました

給料日前の貧乏メシとして、おかゆ、のり玉、江戸むらさきでご飯を食べていることが書かれておりソース定食だけはやりたくない!と、アニメスタッフはどの時代も切り詰めて生活していたことが分かります

そして昼食のラーメン代63円には手を出さず迎えた給料日後は、ブタと白菜とトーフで水タキをやろうと意気込み、今度の休みには「ゴーストバスターズ」(1984年12月公開)を観に行こうと書かれているのでした

 


そして本記事の文面で特に驚いたのが、【7-11】という謎の言葉です

f:id:satatomio:20210116232757j:image

これ、何て読むか分かりますか?

 

当たり前のように記事に書いているので、アニメ業界用語かな?と思ったのですがこれ…コンビニの"セブンイレブン"のことです


よくよく考えればすぐわかることだと思いますが、「セブンイレブン」がまさか80年代では「7-11 」で表記されているとは思いもしませんでした

こういった所に現在26歳の若造は、ジェネレーションギャップを感じてしまいます

 

その他にも、「二日酔いで仕事をすると」や「ワッ自分の作品がTVに!」や「スタジオの冷蔵庫に突撃調査!」などユニークな誰得情報が満載です

是非、本誌をGETして楽しんでください!

 

アニメ業界就職情報

この記事では、1985年当時のアニメ業界事情と就職するアニメスタジオの選び方などが書かれています

その中でも「近い未来 アニメ業界は…⁉︎」というアニメ業界の未来について書かれている記事に注目しました


記事の内容を見ますと、3〜4年後にはアニメの放送本数が減少していくと書かれています

この予言は見事に当たり、本誌が発行された1985年というのは、 ロボットアニメの人気低下や『ガンダム』ブームに続くオリジナルアニメが登場せず、1985年〜1990年あたりまでは「アニメ 冬の時代」と呼ばれ苦しい状況下にあった時代です

その為、制作本数も減少傾向になりました


そして、最近でもたびたび話題になっている自動中割りツールも既にこの頃から考えられていたというのは意外でした

 
中割りとは、アニメの原画と原画の間を補う作業


そして本記事の最後に書かれていた一文を紹介したいと思います

今後、中途半端な技術しか持たないものは、アニメ界にいれなくなってしまうといわれることが、いよいよ本当のものになってきた。

今の時期、技術面、創造面で一定のレベル以上までにいけない人は、必要なくなるだろう。

これからアニメ界を目指す人々にとっては多難な将来といえる。「BREAK・TIME」No.③ p.44より


80年代以降からは、セル画を使ったアナログ制作からコンピュータを使ったデジタル制作に移行していったことにより、アニメスタッフに求められる技術が大きく変わっていきました

アニメスタッフにとっては、新しい技術の登場により助けられた部分もあれば、それらと技術力の面で勝負して勝たないと仕事を失う恐怖との戦いであったかと思います

そういった意味でも、順応できず一定のレベル以上までにいけない人は、必要なくなってしまうのかもしれません

 

誰が興味あんねん!? 伝説のアニメスタジオの弱点

中でも目を引くのが「りょう子ちゃんのスタジオ探検記」という記事です

この記事では、毎回アニメスタジオを訪ねてスクープを掲載するといった感じになっています

そして今回は、『伝説巨神イデオン』『戦闘メカザブングル』『聖戦士ダンバイン』らのキャラクターデザインをされた湖川友謙さんが率いる「ビーボォー」の特集でした

 

ビーボォーとは、1979年に設立された『イデオン』『ザブングル』などの80年代サンライズ作品に参加し『Zガンダム』のキャラクターデザインをされた北爪宏幸さんや"板野サーカス"で知られる板野一郎さんも所属していた伝説のアニメ作画スタジオであります(1989年に解散)


そんな伝説的作画スタジオとして知られる「ビーボォー」でありますが、本記事ではある弱点が取り上げられております

それが「ビーボォー」が参加している"アニメリーグ"という野球リーグ戦での勝敗成績です

f:id:satatomio:20210117035757j:image

 

1勝10敗…

ビーボォー」めちゃくちゃ弱い!!
どこの会社にも社員らで結成する草野球チームはあると思いますが、その試合結果を雑誌で取り上げようとするスタイルが面白すぎます(さすが、アニメスタッフが作る業界誌!)

 

あとアニメリーグについても軽く説明しますと、アニメスタッフの運動不足解消と各アニメ制作会社・スタジオの親睦を深める目的で1977年より毎年行われており、現在でもその活動は続いているのです

つまりは40年以上の歴史があります


そして今回の記事では、(全18戦のうち)リーグ開幕から10連敗した「ビーボォー」野球チームが念願の初勝利をおさめた記録が鮮明に載っているのです

f:id:satatomio:20210116234221j:image

スタジオの代表である湖川さん自らがピッチャーをされていたり、「BLACK LAGOON」や「デジモンアドベンチャー tri.」のキャラクターデザインをされ現在も活躍されている筱雅律さんが3試合で2本もホームランを打つバリバリの長距離打者であったことも分かります(ホント、誰得情報だよ…)

 

また本記事では、当時の湖川さんの写真も掲載されており、当時のアニメ業界について熱く語られております

f:id:satatomio:20210117041031j:image

 

マニアックでマイナーだからこそ、伝えていくべき魅力!

いかがだったでしょうか…?

「誰が興味あんねん!」とツッコミたくなるようなマニアックな記事ばかりで、本誌に対する当時の評価が気になるところです

記事内でも書いたように、今回紹介した「BREAK・TIME」は刊行されていた当時からマイナーな雑誌だったかと感じます

それを裏付けのが前回(No.②)の号での応募プレゼント総数を発表しているページです

f:id:satatomio:20210117165822j:image


めちゃくちゃ少ない!

応募総数を全部合わせても、200件いかないってどうなのかと思います

本誌のマイナーさが窺えます

 


 

制作進行の車などのアニメ業界あるあるを見ていると、少し前に放送され劇場版にもなったアニメ制作会社を舞台にした「SHIROBAKO」というアニメ作品を思い出します

本誌ではまさに、リアル「SHIROBAKOの世界がそのままに記録されているのです

 


1980年代という時代は当然ながらインターネットもなく、情報を得れるメディアが限られていました

だからこそ、情報が乏しい時代であった80年代において本誌のようなアニメ業界の裏側を取り上げる雑誌が必要であり、アニメ業界で働くことを夢見る若者には凄く重宝した雑誌だったのかと思います

ただマニアックな情報をメインにしたことで短期間で休刊し、幻の80年代アニメ雑誌となったのではないでしょうか


輝かしい栄光の中には、ひっそりと消えていったモノもあります…

そういった当時のモノも含めて、80年代アニメの魅力ではないでしょうか?


今後も80年代アニメの魅力をメジャー・マイナー問わず、次世代の若者に伝えていければと思います

とりあえず次は、もう一つの幻のアニメ雑誌Globian(グロービアン)」について書きましょうかw

 

f:id:satatomio:20210117145832j:image

 

BREAK・TIME(ブレーク・タイム)」の情報大募集!!

まだまだ謎に包まれている本誌の情報を大募集しております

「BREAK・TIME」についての情報があれば、当ブログのコメント欄又はTwitterの方に連絡ください

 

よろしくお願いします!

twitter.com

 

🌟-前回の記事-🌟

80sanime.hatenablog.com