80年代アニメを知りたい! 伝えたい!

主に1980年代に制作されたアニメや関西で行われるイベントについてを20代の若造の視点で書いていこうと思います。

【平成生まれが解説】80年代アニメ史・前編🟢(1980~1984)

どうも、「80年代」と聞くと無意識のうちに体が反応するようになってしまったSATAトミオです

80年代アニメのことばかり考えていると関係のないジャンルでも、ついつい反応しちゃうようになりました(かっこ良く言うなら職業病というやつでしょうか)

 

私は今まで、1980年代に制作されたアニメを「80年代アニメ」という一つのジャンルとして語ってきました

 
しかし、一括りに80年代アニメといっても80年代前半と後半では全く違った特色があり、「80年代アニメ」という一言では言い表せない魅力があります


また、その当時に起きた出来事や流行りがアニメ作品に影響を与えているケースもあります


そこで今回、1980年代に制作されたアニメを年別に分けて、その年の特色やトピックスを20代の若造から見た視点で語っていきたいと思います

ちょっと長い文章になっていますが、お付き合いいただけると幸いです!

 

1980年(昭和55年) ガンダムの終わりから始まる80年代

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1980年制作の主なアニメ作品

・『あしたのジョー2』(TV)

・『ドラえもん のび太の恐竜』(映画)

・『ニルスのふしぎな旅』(TV)

・『宇宙戦士バルディオス』(TV)

・『釣りキチ三平』(TV)

・『伝説巨神イデオン』(TV)など

ガンダム】×【プラモデル】=ガンプラの誕生

80年代アニメの始まりは『機動戦士ガンダム』のTV放送終了から始まったといっても過言ではないでしょう

この昨年(1979年)4月から放送が始まった『機動戦士ガンダム』が1月下旬に終わり、そして7月には、ガンダムのプラモデル…『ガンプラ』が発売されるわけです

本放送終了後から各地で始まっていた再放送の効果もあり、ガンプラガンダムは大ブームとなり社会現象を巻き起こします

 

『映画 ドラえもん』の始まり

ドラえもん(大山のぶ代版)』の放送が始まったのが1979年からで、劇場版第1作目である『ドラえもんのび太の恐竜』が公開されたのが1980年であります(以後、2004年まで毎年新作映画が公開される)

80年代の始まりとは、『映画 ドラえもん』の歴史の始まりでもあるといえますね

 



1980年というのは、70年代の続きであり当然ながら前年代の匂いが残っている時代です

アニメは子どもの為の媒体であり、オープニングやエンディング曲も主人公や作品名を入れた学童向けの楽曲が多いイメージがあります

しかしロボットアニメに関しては、『ガンダム』の登場以降、『イデオン』や『バルディオス』などの作品で地球人VS宇宙人という構図の中にも敵の主義主張を描かれ、中高生が好む作品が増えていきます

1980年のアニメ以外のトピックス
ゲーム&ウォッチ発売

松田聖子デビュー

王貞治引退

山口百恵引退

ゲーム&ウォッチの発売に王さんや百恵ちゃんの引退も70年代の出来事だと思っていたのですごく驚きました

百恵ちゃんが引退するタイミングで松田聖子さんがデビューするのも、時代の変わり目を象徴するようで考え深いですね

 

1981年(昭和56年) アニメ新世紀の幕開け

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1981年制作の主なアニメ作品

・『Dr.スランプ アラレちゃん』(TV)

・『うる星やつら』(TV)

・『さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅』(映画)

・『機動戦士ガンダム』(映画)

・『機動戦士ガンダム哀・戦士』(映画)

・『六神合体ゴッドマーズ』(TV)など

アニメ新世紀宣言、新しい時代へ

ガンプラの登場から加速した『ガンダム』ブームは映画化をきっかけにさらに加速します

劇場版『機動戦士ガンダム』が3月14日に公開され、映画のPRの活動の一環として映画公開前の2月22日に監督・キャストが勢揃いするアニメイベントが新宿アルタ前で開催されました

そうです!、これがアニメ史を語る上で絶対に外すことができない伝説のアニメイベント『2.22アニメ新世紀宣言大会』であります


新宿アルタ前という駅のロータリーほどの空間に、1万以上のファンが全国から押し寄せて警察までもが出動する事態となったアニメイベント…本当に当時の熱の凄さを感じます

劇場版第1作目が公開され大ヒット、続いて7月に公開された第2作目の『哀・戦士』編も大ヒットして、1981年も『ガンダム』の年であったと感じます

(以前「アニメ新世紀宣言」について書いた記事がこちら↓)

80sanime.hatenablog.com

 

国民的アニメの登場

この年といえば、『Dr.スランプ アラレちゃん』と『うる星やつら』という二大長編TVアニメ作品が放送されたのも大きいです

Dr.スランプ』は「んちゃ」というアラレちゃんの挨拶が大流行し、最高視聴率36.9%(歴代3位)という驚異的な数字を叩き出しためちゃんこ凄い作品です

また夏休みシーズンになると毎年EDが盆踊りのテーマとした「アラレちゃん音頭」になります

作品自体の人気もあり「アラレちゃん音頭」は80年代の盆踊り曲の定番となり、令和になった今もなお使われている地域もあります(マジな話です)

 

最強のアマチュアアニメ

大阪で行われたSF大会(DAICON3)にて、当時大学生であった庵野秀明さんらがオリジナル8mmアニメを出展して注目をあつめたのもこの年です

庵野さんといえば、『新世紀エヴァンゲリオン』や『ふしぎの海のナディア』の監督としてお馴染みですよね

庵野さんらのようなアニメや特撮を観て育った世代がアニメ業界へ進出してきたのも80年代からであり、若手クリエーターの出現が80年代アニメ業界に新たな風を吹き込み活気を与えたといっていいでしょう

(DAICON3や大学生時代の庵野さんについて知りたい方は、当時同じ大学に通っていた島本和彦さんのほぼ自伝マンガ「アオイホノオ」をご覧ください)

 



1980年からの大きな変化はありませんが「アニメ新世紀宣言」により、"アニメ=子ども向け"という図式が壊され始めた年であることは間違いないことでしょう

 

 ガンダムブームをきっかけに、1981年は「マイアニメ」「アニメディア」といったアニメ雑誌が新たに刊行されます

アニメディア」は学習研究社(現・学研ホールディングス)より1981年6月に創刊され、現在も刊行が続く歴史あるアニメ雑誌

『マイアニメ』は秋田書店より1981年3月に創刊された雑誌ですが、1986年に廃刊します(創刊号の表紙がシャアであったことも当時の『ガンダム』の勢いを感じます)

1981年のアニメ以外のトピックス

初代タイガーマスクデビュー

後天性免疫不全症候群「AIDS(エイズ)」の発見

・「セーラー服と機関銃」公開

ピンクレディー解散

・「オレたちひょうきん族」放送スタート

新日本プロレス初代タイガーマスクがデビューしたことで、子どもたちの間でプロレスブームが巻き起こります

このブームにより、80年代アニメでもプロレスの影響を受けた作品が出てくることになります

80sanime.hatenablog.com

 

1982年(昭和57年) 若手クリエーターの台頭

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1982年制作の主なアニメ作品

・『さすがの猿飛』(TV)

・『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙』(映画)

・『戦闘メカ ザブングル』(TV)

・『超時空要塞マクロス』(TV)

・『伝説巨神イデオン 接触篇/発動篇』(映画)

・『魔法のプリンセス ミンキーモモ』(TV)など

アニメを観て育った世代が創るアニメ

今なお続く『マクロス』シリーズの第1作目『超時空要塞マクロス』が放送された年です

初代『マクロス』はアニメを観て育った若手スタッフが主力として制作された作品で、昨年(1981年)のDAICON3で脚光を浴びた庵野秀明さんや山賀博之さんらも参加されています

アニメにアイドルという要素を持ち込んだのも本作が初めてであり、劇中キャラ(ミンメイ)と歌手(飯島真理さん)がリンクするシステムも新しい試みでした

 

作品名を出さないロボットアニメソングの登場

1982年になり『魔境伝説アクロバンチ』という作品で、ロボットアニメのオープニングで初めて主役メカや作品名を歌詞に出さない作品が誕生します

アクロバンチ』の登場以降、ロボットソングで主役メカや作品名を歌詞に出さない作品は多く誕生していきます

1982年のアニメ以外のトピックス

中森明菜早見優小泉今日子など、花の82年デビュー組のデビュー

・CD(コンパクトディスク)発売

・「E.T.」公開

・「笑っていいとも」放送スタート

ザテレビジョン創刊

・500円硬貨登場

CDが登場したのが1982年ということですけど、約40年前のメディアが今現在でも第一線で活躍していると考えると本当に凄いことですよね

 

お昼休みはウキウキウォッチングしてしまう番組「笑っていいとも!」がスタートした年でもありますね

また同じフジテレビ系列で放送されていたTVアニメ『さすがの猿飛』では、始まったばかりの「笑っていいとも!」をネタにした回があります

 

1988年2月23日に放送された『きまぐれオレンジロード』第47話「さよならの予感 まどかの初恋を探せ」では、500円硬貨を使いタイムスリップネタに説得力をもたせる演出がされていました

 

1983年(昭和58年)  アニメソングの変化とOVAの誕生

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1983年制作の主なアニメ作品

・『クラッシャージョウ』(映画)

・『ダロス』(OVA)

・『幻魔大戦』(映画)

・『聖戦士ダンバイン 』(TV)

・『装甲騎兵ボトムズ』(TV)

・『魔法の天使 クリィミーマミ』(TV)など

J-POPアーティストによるアニメソング

1983年といえば、アニメソングにも変化の兆しが見られた年です

当時のアニメソングは子ども向けの楽曲が多く、J-POP系のアーティストとは無縁の世界でした

しかし、杏里が歌う作品と同名の楽曲「CAT'S EYE」はアニメ楽曲という枠を飛び越えていきます

80年代の音楽番組「ザ・ベストテン」「ザ・トップテン」では1位を獲得して、1983年年間シングルチャートでも第6位と輝かしい成績を残ります

この大ヒットをきっかけに、80年代TVアニメのOP・EDをJ-POP系アーティストが歌うケースが増えていきます(シティーハンター ED「Get WildTM Network」など)

 

世界初のOVAの誕生

初めてのOVAである『ダロス 』が発売された年であります

OVAとは【オリジナル・ビデオ・アニメーション】の略称で、ビデオソフトで発売されたアニメ作品のことを指します(80年代当初はOAV(オリジナルアニメーションビデオ)と呼ばれていました)

ビデオデッキの低価格化やレンタルビデオショップの増加、さらに1984年のロサンゼルスオリンピックの影響もあり、ビデオデッキは一般家庭へと普及していきます


バイオレス・お色気シーンの過激な描写やマニアックな路線など、TVアニメでは描けない挑戦的なシーンの数々に需要が高まり、ビデオデッキ普及と共にOVA作品は増えていくわけです

80sanime.hatenablog.com

 異世界転生アニメの始まり

この年に放送されたロボットアニメ『聖戦士ダンバイン』は、今流行りの異世界転生アニメの元祖として知られています(監督は富野由悠季)

更に翌年の1984年に放送された『ゴッドマジンガー』も異世界転生アニメであり、『ダンバイン』以降続々と登場します

異世界転生アニメも80年代から始まったのです

 



私が最も好きな年が1983 年であります

理由としては、1980年〜1982年にみられる子ども向けな作風も残りつつ、OVAの登場で徐々にオタクコンテンツとなっていくアニメ市場…その両方を満遍なく楽しめるのがこの年の良さであります

洗礼され過ぎていない荒さや熱も1983年の素晴らしいである気がします

まあ、単純にこの年のアニメが自分の肌に一番合うということなんですけどね

1983年のアニメ以外のトピックス
・TSUTAYA1号店、開店

アクエリアスカロリーメイトG-SHOCKが発売

・「おしん」放送

東京ディズニーランド開園

ファミコン発売

PL学園KK(桑田・清原)コンビ(高一)、夏の甲子園優勝

・「スター誕生」放送終了

・日本初の体外受精

・「フラッシュダンス」公開

東京ディズニーランド開園に「おしん」の放送とアニメ以外にもすごい時代ですけど、ファミコンの発売が1983年というのには一番驚きました(自分のイメージでは1985年ぐらいでした)

ゲーム&ウォッチの登場からわずか3年後というのも、80年代特有の激しい時の流れを感じます

 

アメリカで公開された映画「フラッシュダンス」は、80年代に流行りつつあったエアロビクスブームを確固たるものにして、80年代アニメでもレオタード衣装が多く見られるようになりました

 

1984年(昭和59年) 80年代を象徴する三大アニメ映画

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1984年制作の主なアニメ作品

・『BIRTH(バース)』(OVA)

・『ルパン三世 PARTⅢ』(TV)

・『風の谷のナウシカ』(映画)

・『重動機エルガイム』(TV)

・『名探偵ホームズ』(TV)など

それぞれのアニメ監督

風の谷のナウシカ』や『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』や『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』(以後、愛おぼ)などの大型映画タイトルがしのぎを削った年であります

風の谷のナウシカ』の監督をされたのは宮崎駿さん、『ビューティフル・ドリーマー』の監督されたのは押井守さん、愛おぼを監督されたのは当時弱冠24歳の若手であった河森正治さん

 

80年代アニメを象徴する作品であり、それぞれの監督にとって転機になった年であることは間違いないでしょう(皆さん今も活躍されている方ばかりですごいですよね♪)

 

オリジナルアニメ以外のOVAの在り方

昨年の『ダロス』の発売以降注目を集めるようになったOVA

1984年になり『BIRTH(バース)』『街角のメルヘン』など完全オリジナルのOVA作品がリリースさせる中で、1983 年放送された『クリィミーマミ』の続編『魔法の天使 クリィミーマミ 永遠のワンスモア』がリリースされたことも大きな意味をもちます

OVA作品として発展はでアニメ市場を更に活発とさせ、TVシリーズの続編をOVAとして出す新しいスタイルを生まれました(また『くりいむレモン』などのアダルトアニメが登場したのも1984年からです)

 

新人歌手とアニメソング

新人歌手がアニメ主題歌をきっかけにデビューするケースが増えていくのもこの年からです

1984年でいうと『重動機エルガイム』後期OP「風のノーリプライ」を歌われた鮎川麻弥さん、『風の谷のナウシカ』のイメージガールに選ばれ同名の曲でデビューした安田成美さんなどがいます

なぜ新人歌手がアニメの主題歌を担うケースが増えたかというと、新人歌手のプロモーションとしてアニメ主題歌を歌うことが宣伝になると判断されたからです

更に、この年をきっかけにアイドル歌手がアニメを主題歌を歌う作品もみられるようになっていきます

1984年のアニメ以外のトピックス

東京芝浦電気東芝に商号変更

植村直己消息不明、国民栄誉賞受賞

・『キャプテン』の作者、ちばあきお自殺

マハラジャ麻布十番店オープン ディスコブームへ

ロサンゼルスオリンピック

 TOSHIBA(東芝)という名前が略称されたものだと初めて知りました

現在も日常的にあるものでも、意外と知らないことや変わり変わって今の形があるのだと感じさせられました

1984年以前でもディスコ描写のあるアニメ作品がありましたが、この年から本格的にブームになっていったのでしょうかね

 

アニメの制作年度は当時を知る貴重な資料

もしかしたら、リアルタイム世代の方は当時のアニメの制作年度とかはあまり気にしないのかもしれません(自分自身リアルタイムで観ていた2000年代のアニメの詳細な制作年度を知りませんからね)

しかし80年代当時を知らない私としては、制作年度も当時を知る為の貴重な資料となります

特に80年代は一年ごとの移り変わりが激しい時代ですので、今回のように年度別にまとめてみて改めて素晴らしい時代であったことを理解できました


あと、80年代のことはアニメを通じて知っているつもりでも、当時のニュースなどまだまだ知らないだらけであることを痛感するのと共に約40年の月日が流れていることを感じます

そんな奥深さに私は惚れているのかもしれません



今回の記事は80年代前半(1980〜1984年)5年分の記事になりましたが、始めの予定としては一つの記事だけで80年代の10年分を振り返るつもりでした…

しかし…とてもじゃないですけど、できませんでした

だってアレですよ!書いているうちにアレも書きたい・コレも書きたいとドンドン膨らみ、今回調べた一年一年がどの時代の主役になれるほどの輝きがあるのですから長くなるのは当然ですよ(これでも抑えた方です)

このような長い記事に最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

 


もちろん今回の記事は前半部分だけであり、80年代後半(1985〜1989年)のアニメ史をまとめたものも近いうちに更新できればと思います

 

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🌟-前回の記事-🌟

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