どうも、アニメだけでなく80年代アイドルソングも勉強中のSATAトミオです
今回は80年代アニメに関する記事ではなく、私のバイブルと呼ぶべきマンガについて書いていきます(といっても80年代に関する作品ですけど)
先日、TBS系列で放送されている『マツコの知らない世界』という番組で、平成生まれながら昭和ポップスをこよなく愛する2人がマツコさんにプレゼンする「昭和ポップスの世界」という回が放送されました
近年、平成生まれの若者の間で昭和ポップスが流行ってきたとされており、ひそかに注目を集めています
そういった人たちのことを、最近では【平成生まれ昭和育ち】と呼ばれる流れがあります
平成生まれ昭和育ちとはーー言葉の通りの意味で、平成に生まれながら昭和のカルチャーの影響を受けて育った人のことを指したものです
この言葉の使われ方としては、主に昭和歌謡曲や80年代のアイドルブームやテレビ番組に影響を受けた平成時代の人に対して広く使われています
まぁ、自分はそれのアニメ版だということです(その為、今まで当ブログでは扱いませんでした)
平成生まれの方で昭和カルチャーに趣味を全振りしている人というのはものすごく少数で、その大半が同年代の友達の会話やノリについていけず、苦労した(している)経験を持っています
そんな平成生まれ昭和育ちの誰もが共感し、心を射止めるオススメなマンガがございます!
それは…『スローモーションをもう一度』です
『スローモーションをもう一度』とは…2016年から2018年かけて「週刊ビックコミックスピリッツ」で連載されていた加納梨衣さんによる恋愛作品です(コミックス全7巻)
こちらは私が購入したコミックであります
特に注目していただきたいのが、コミックに付いている帯です
80年代を彩った楽曲の歌詞が入っているのが、実にチャーミングであります
あらすじーー
一見リア充な高校一年生・大滝くんには誰にも言えない「秘密」があった…
それは、アイドルや歌、おもちゃなどの
「80年代文化」が大好きだということ!
自分が大好きなものを誰とも共有できず、一人だけで楽しむ毎日を送っている大瀧くん。
そんなある日、クラスメートの薬師丸ちゃんが自分と同じ「秘密」を持っていることを知る。
生まれて初めて「同じ趣味を持った同年代」と出逢った二人は、徐々に一緒に遊ぶようになってーー(第二巻STORYより引用)
スマホ世代でありながら80年代カルチャーが好きな現代の高校生が出会い、その恋愛を描いた作品であります
キャチコピーは
ー80年代が大好きな現代の高校生が織りなす、いま一番尊い純愛。ー
私が本作と出会ったのが3年前(2017年)の22歳の頃、コミックスが3巻まで発売されていた時ぐらいだったはず
元々1巻が発売されたあたりで気になっていたのですが、当時の自分は同じ80年代でもアニメにしか興味がなくスルーしたのを憶えています
それから何回も本屋で見かけるうちにドンドン気になり、とりあえず1巻だけを購入しました
恋愛作品としても素晴らしいですが、80年代カルチャーについての描写や平成生まれ昭和育ち特有の悩みを的確に捉えられていて、ズドォーンと胸に刺さりました
そうだ…こんな作品を待っていたんだ!と思うぐらいに自分の中でハマり、翌日には発売済みの巻を全て揃えていました
今まで理解されなかった自分の趣味に共感してくれる同世代がいる…それは自分が憧れていた世界であり、高校生の頃に出会いたかったと本気で思った作品です
そんな本作の魅力を、平成生まれ昭和育ちの自分が紹介していきたいと思います
高校生2人による、尊い純愛物語
『スローモーションをもう一度』という作品は、どこまでいっても大滝くんと薬師丸ちゃんの二人の世界を描いた作品です
その二人を紹介しないと始まらないわけです
大滝くん
中森明菜などの80年代のアイドルや歌が好きな高校一年生
母子家庭で遊ぶ物も少なく、母親が子どもの頃に遊んでいたモノで育った為に、80年代カルチャー好きへと成長する
運動神経も良くてクラスの中でも中心的人物であるが、小学生の頃に趣味を「ダサい」と否定されたことから、高校では自分の趣味を隠して周りに合わせるようになる
薬師丸ちゃん
大滝くんと同じクラスで真横の席に座る、前髪が目元まで伸びている地味系の高校一年生
運動オンチでドジっ子要素も持ち合わせている
クラスでも話し相手がおらず、影を薄い存在
大滝くんと同じように80年代のアイドルや歌が好きで、家の離れにレコードなどの80年代グッズが大量にある部屋を"自分の居場所"としている
裁縫が得意で、ステージ衣装を自分で作って着ては一人で楽しんでいる
クラス中心人物の大滝くん、クラスでは地味な薬師丸ちゃん…このアンバランスな関係の2人が「同じ趣味を持った同年代」として繋がっていくのが魅力であると感じます
そして注目してほしいのが、薬師丸ちゃんの表情のバリエーションです
学校にいるときは目元が隠れるぐらい前髪を下ろして影を薄めていますが、大滝くんの前では前髪を分けて喜怒哀楽の表情をコロコロと変えます
学校の時の表情と大滝くんの前でしかみせない表情…心を開いている人にしか向けられないこのギャップこそが『スローモーションをもう一度』の隠された魅力といえるでしょう
更に、物語が進むにつれて薬師丸ちゃんの表情もドンドン豊かになり、キュン度が上昇していきます
2人にしかわからない世界を楽しんでいただけたらと思います
80年代カルチャーと中森明菜
『スローモーションをもう一度』の魅力といえば恋愛ストーリーだけでなく、80年代のアイドルや歌、おもちゃなどの80年代カルチャーへの愛で溢れているということです
毎回、物語に合わせた曲や作品がサブタイトルが起用されて、リアルタイム世代の方が懐かしく感じる仕掛けが随所に散りばめられています
その中でも中森明菜の存在は特別です(以後、"明菜ちゃん"と呼ばせていただきます)
明菜ちゃんのデビュー曲であり本作の作品にもなっている「スローモーション」、第1話のサブタイトルに起用され二人の出会いを演出する「少女A」…
その他にも「ミ・アモーレ」「DESIRE」など、物語の重要ポイントでは必ず明菜ちゃんの曲が(サブタイトルも含めて)関わってきます
本作を読むまでアニメ以外の80年代のアイドルや歌には興味がなかったのですが、本作をきっかけに80年代アイドルにも興味を持ち、徐々に勉強していきました
そして明菜ちゃんの歌(特に「少女A」)にハマり、「プロローグ〈序幕〉」と「バリエーション〈変奏曲〉」のアルバムであるLPレコードも購入しました
明菜ちゃんの魅力は「スローモーション」のような正統派なアイドルソングを歌うかと思えば、「少女A」のような大人びた曲をクールに歌い上げるところだと思います
だって、可愛らしい顔つきをした少女が大人の女性への階段を上がっていく感じとか興奮しませんか?(やらしい意味じゃないですよ)
そこから「DESIRE」を歌うようなアイドルからシンガーへと変化していく過程も魅力に感じます
明菜ちゃんの魅力は動画で見ていただくのが一番だと思いますので、是非見てください!
その他にも早見優さんの「急いで!初恋」や松本伊代さんの「センチメンタルジャーニー」など、曲を知っていたら思わず歌いたくなるシーンが満載です
平成生まれから見た本作の魅力
本作は、不器用な高校生同士の恋愛を見守る"いわゆる普通の恋愛マンガ"でありますが、最大の魅力は「同じ趣味の持った同年代」と出会うというところにあります
ここでは平成生まれ昭和育ちである私の経験も踏まえた上で、本作の魅力を紹介していきます
本作の評価を見ていると"懐かしい"や"当時遊んでいたな"といったリアルタイム世代の方の声が多いように感じます
いくら高校生同士の恋愛とはいえ、周りを彩っているのが80年代カルチャーなのですから当然といえば当然ですよね
しかし、冒頭でも書いたように本作を一番読んでほしいのは、平成生まれ昭和育ちの方々だと思っています
平成生まれ昭和育ちの方というのは、周りとの趣味が噛み合わずに苦労した人たちばかりと感じています
中には友達にさえ昔のカルチャーが好きだと公言できなかった人もいると思います
自分も高校生の時は、80年代アニメ好きを公言することはありませんでした
別に隠していたわけではないのですが、一度80年代アニメを友達に勧めた時に〔古くて観れない〕と言われた経験があり、そこから自分からは語ることは無くなりました
趣味を周りに言えない大滝くんの境遇なんかは自分とまったく同じで、心の中で"わかる!"と何回も連呼しながら読んでいました
いや〜ホントに共感の嵐!
大滝くんの考えていることなんかは自分が高校時代に考えていた事とほぼ変わりなかったので、モデルは私ではないのかと思うぐらいに高校時代の悩みが描かれていました
悩んでいるのは自分だけではない!と思わせていくれたのがこのマンガでした
自分の好きを否定してはいけない!
本作の第一話に大滝くんの心のセリフで「おれの楽しみは…おれだけのものだ」というのがあります
このセリフは、周りの友達に受け入れてもらえないであろう自分の趣味を隠して押し殺す心境を語ったセリフであります
高校生の時の私も80年代アニメが好きなことを誰にも理解されなくても構わない…自分一人が楽しめればそれでいいと思っていました
でも疎外されるのが怖くなり、自分の好きな趣味を押し殺して周りに合わせている偽りの自分がいて、嫌いになったこともあります
しかし、この『スローモーションをもう一度』という作品に出会えて"自分の好きを否定してはいけない"ことを教えてもらいました
それと同時に、ただ昔の作品に憧れるだけでは何も変わらない…新しいことへ一歩踏み出すことも大事だとも気付かされたのです
(今思えば、この作品がブログ活動を始める起爆剤だったと思います)
そこから誰かに伝えたい!知ってほしい!という思いを胸にブログやTwitterを始めて、たくさんの「同じ趣味の持った同年代」がいることを知り合えて、更には実際にお会いしてる交流することもできました
そのことは過去の記事でも語ったとおりです
私の経験上、一番つらいのは"孤独"です
趣味を共有できる場所がなく、誰にも打ち明けれずに自問自答するのは苦しいことです
だからこそ知ってほしい
同じように悩み苦しんでいる人がいて、その人たちはあなたの味方であることを…
自分はこの作品に出会えてホントに救われました
今も自分の趣味について悩んでいる平成生まれ昭和育ちの方はたくさんいると思います
その人たちの希望になり得るマンガがこの作品です
どうかこの作品を得て、一歩踏み出す力になることを願っています…
湿っぽい最後になりましたが、80年代当時を知っているリアルタイム世代の方は懐かしくなり、また80年代に全く興味ない若い世代の方もドキドキする恋愛ストーリーでありますので、是非読んでいただきたい作品です!
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