新型コロナウィルスの影響で最近の休日の過ごし方は、喫茶店に行くか家でアニメばかりを観ているSATAトミオです
問題が深刻化してきて怖いですよね…体が丈夫であればウィルスに感染しないのかな?と少し考えてしまう次第です
そんなわけで名作プレイバック第4回の今回は、新型コロナウィルスすらも跳ね飛ばしそうな免疫力の強いキャラクターが登場する富野由悠季監督作品『戦闘メカ ザブングル』を紹介します
相次ぐイベントの中止・延期で暗いムードが立ちこめる現在でありますが、そんな時こそ『ザブングル』ようなバカみたいに明るく元気になれる作品を振り返り、今を生きる力を教えてもらうべきだと考えました
『戦闘メカ ザブングル』とは、1982年にサンライズ(当時:日本サンライズ)製作で全50話放送された富野由悠季監督のロボットアニメ作品です
本作は、富野監督が「富野 喜幸」から「富野 由悠季」へと改名後の最初の作品であります
あらすじーー
惑星ゾラという地球で文明レベルも低く野性的な庶民階級の"シビリアン"、それを支配し密閉型のドームで生活する"イノセント"という支配階級の身分が存在する西部劇的な世界の物語です
シビリアンはイノセントにブルーストーンという鉱石を上納し、物資やWM(ウォーカーマシン)と取引します
その為ブルーストーンは貴重なものであり、鉱石を掘る"ロックマン"、それを買い取り商売をする"運び屋(交易商人)"、横取りしようとする盗賊から守る用心棒"ブレーカー"というシビリアン内で経済が成り立っています
そんな惑星ゾラに窃盗や殺人などの犯罪を犯しても三日間逃げければ全てが許される【3日の掟】があります…要するに三日間のうちに復讐できなかった方が悪いという弱肉強食の掟です
しかし、一匹狼の"ブレーカー"ティンプ・シャローン(cv.田中崇(現・銀河万丈)に両親を殺された主人公・ジロン・アモス(cv.小滝進(現・大滝進矢)は、その掟を破って三日間過ぎても追いかけるのです
ティプンを追うジロンはアイアン・ギアーの仲間と出会い、やがてイノセントを敵に回す事態になります…さて!
『ザブングル』はコメディを中心として描かれている作品でありますが、シビリアンとイノセントの階級差やジロンの両親の敵討ちなどシリアスなシーンも多く、エンターテインメントに溢れている作品であります
私は80年代アニメの中でも特に『ザブングル』に思い入れが深く、中学二年生の時にCS放送で『ガンダムZZ』を観て、その次に観た80年代アニメが本作でした
その時の記憶はほとんど無いのですが、とにかくゲラゲラ笑いながら観ていて毎日が楽しかったのを憶えています
『ザブングル』という作品は80年代ロボットアニメの中でも異色…しかし、どの作品よりも伸び伸びと勢いがあり、アニメーション本来の豊かさを持った作品だと感じています
だって勝手にキャラクター達が走り出すのですから(笑)
未見の方には、是非そんな体験をしていただきたく今回の紹介記事を書いています
主役は二人のヒロイン!?
『ザブングル』といえば、男勝りで山賊サンドラットのリーダーであるラグ・ウラロ(cv.島津冴子)と、演劇などの文化的なことに愛するエルチ・カーゴ(cv.横尾まり)の対照的な二人のヒロインが魅力的な作品です
対照的な二人のヒロインは、主人公ジロンよりも主役であると感じさせられます
ここで紹介させていただきます
ラグ
WM(ウォーカーマシン)や物資を狙う山賊・サンドラットの女リーダー
男勝りな性格で自分が女性という自覚があまりないからなのか、男の前でも裸になることに抵抗が少ない
その為普段から女性として扱われず、ジロンが女性として接すると照れたりします
また惚れた男に尽くすタイプで、ジロンにベッタリとくっついて離れないのが印象的なキャラクターであります
エルチ
運び屋の中でも屈指の力を持つ、キャリング・カーゴの娘
惑星ゾラに文化の花を咲かせようと演劇や読書を好む女性
その為、高貴的な文化を持つイノセントを神様のように崇めています
手を使い食事するシビリアンが多いの中で、ナイフやフォークを使い常に気品高く生きるエルチでありますが、怒ると脚を大きくあげてパンツが見えたりなど誰よりも品がなくなってしまう欠点があります
またナイフの使い手であり、お嬢様とはいえ厳しいシビリアンの世界を生きる為に身につけたものかと想像させられます
二人は常にジロンを巡り熱い小競り合いをします
よくいうハーレムというやつです
ではなぜ、ラグとエルチがジロン以上に主役であるかというと、それぞれにしっかりとした"生き様"が描かれているということです
ラグとエルチはジロンだけを愛するのではなく、他の男にもなびく時がある…これこそが『ザブングル』、富野作品に生きる女性の素晴らしさなのです
自分の考えをしっかりと持ち、時に主人公の元から身を引き敵対もする…運命的な出会いと別れを繰り返して、ヒロインもまた成長していきます
ヒロインにも独自の物語があり、女性としての一筋の芯があるからこそ『ザブングル』のキャラクターはアニメを超えた存在になりうるのであります
『ザブングル』をご覧になる際は、ラグとエルチ(+.チル、ビリン、マリアなど)のヒロインの恋の駆け引きに注目してください!
『ザブングル』が生んだパターン破りの数々
『ザブングル』という作品には、代名詞である【パターン破り】という言葉があります
実はこの【パターン破り】の数々が常識を覆し、その後のロボットアニメに大きく影響を与えていることをご存知でしょうか?
『ザブングル』を語る上で外せないパターン破りを紹介していきます
パターン破り① ネジ目と土饅頭
『ザブングル』のキャラクターデザインをされたのは、富野作品で『無敵鋼人ダイターン3』の敵側や『伝説巨神イデオン』も担当された湖川友謙さん
湖川さんは70年代タツノコプロの作品に多く参加されていて劇画タッチのキャラクターを得意とする方でありますが、『ザブングル』ではそれらとは違ったアニメ的な優しいラインが魅力の作品です
また瞳のハイライトに一本の斜線が入る"通称:ネジ目"は『ザブングル』の代名詞であり、キャラクターをより豊かな表情に魅せる演出をします
主人公とは、美形でありカッコいいものである…という根底を覆したのも『ザブングル』が起こしたパターン破りの一つであります
ジロンは主人公でありながらふっくらとした丸顔で、作品内でも"土饅頭(どまんじゅう)"や"メロン・アモス"と呼ばれバカにされるシーンがあります
メロン・アモス
ちなみに土饅頭とは、「グリム童話」に収録されている作品の一つであり、土を饅頭のように小高く盛り上げて作った墓のことらしいです
(今回の件で調べて、ちゃんとした意味を知りました…)
パターン破り② 主人公メカが二体!?
主人公メカといえばロボットアニメの花形
プラモデルやおもちゃなどのグッズが発売されて、作品の顔となり番組人気を決める重要な部分であります
本作では第一話に"ザブングル"と呼ばれる青いロボット・WM(ウォーカーマシーン)が登場し、なんと二体登場するのです
全く同じデザイン・同じ色のロボットが二体…これまで(1982年)にそんな作品はなく、『ザブングル』が初めだと言われています
ザブングルには機体後ろに翼がついており、戦闘で翼が折れた機体をジロンが、もう一機をエルチ又はラグが使って作品中盤まで登場します(同型の主人公メカでも翼の違いで差をみせるあたり、よく考えられています)
パターン破り③ 主人公メカ交代
先ほども言ったとおり、主人公メカとは花形です!作品の顔なのです!!
『ザブングル』では作品中盤に主人公が新型WM・ウォーカーギャリアへと乗り換えます
ウォーカーギャリア
今では主人公メカの交代は長期ロボットアニメ作品の楽しみの一つとされていますが、当時としては画期的なこととされています
その後の富野作品でも『聖戦士ダンバイン(ダンバイン→ビルバイン)』『機動戦士Zガンダム(ガンダムMK-Ⅱ→Zガンダム)』など、数多くの作品に取り入れられました
主人公メカが交代することにより、新型メカのプラモデルやおもちゃを発売させることができます
作品に新しい風を入れたい製作側と新商品を製作し新たな利益を得たいメーカー側、両者の利害が一致したWin-Winなパターン破りというわけです
パターン破り④ メタなセリフ
『ザブングル』という作品はコメディとシリアスを織り交ぜた作品です
その為、作品内で使われるメタ台詞も『ザブングル』の世界を彩る調味料となるのです
メタ台詞とは、キャラクターが作品の枠を超えて視聴している側に語りかけてくることなど
例えば…決戦に向かう前、ザブングルを重装備にしたときのジロンのセリフ
「ちょっと重すぎたかな?成せばなる、ザブングルは男の子!」
あともう一つ有名なのが、死の淵に追い込まれたときのジロンのセリフ
「そう簡単に死ぬるかよ、アニメでさあ!」
その他にも、敵が攻めてきて持ち場を求めるアイアン・ギアーの仲間・ダイクに対して「サブキャラだからな、ブリッジに行ってよ」というジロンのセリフがある(ひどい)
メタ台詞というのは一つ間違えれば作品の世界観を潰しかねない、いわば綱渡りのようなもの…
しかし『ザブングル』という作品にかかれば、どんなシーンも〔ザブングルだからねぇ〕で全て解決するのです!
どんなことが起きようとその世界観を受け入れてる…これはオカシなことがちょっとでもあればすぐに批判する最近のアニメの流れに対して、もう少し柔軟にアニメを観ればと思うところです
※『ザブングル』を観るときぐらいは、気を抜いて楽しくアニメを観ましょう
銀河万丈ボイス冴え渡る、次回予告
『ザブングル』といえば、倒置法が多様された独特な言い回しが癖になる次回予告も忘れてはならない魅力です
次回予告を担当されているのは、本作のナレーションやティンプ役でお馴染みの銀河万丈さん
「富野節」でリズムよく語られる次回予告…そしてタイトルコール後の決めフレーズ「さて…!」
そういった楽しみが散りばめられているが本作の特徴であり、この次回予告を聴くと次のエピソードが早く観たくなる魔法にかかります
ラストシーンが違う!
『ザブングル』にはTV版(全50話)の他に、作品終了後に公開された劇場版アニメ『ザブングルグラフィティ』という作品があります
名シーンを編集して繋げたダイジェスト方式が取られ、TV版を観た時とは違った印象を受ける作品となっています
ストーリーは基本的には同じでありますが、ラストシーンが少し違います
少し違うといっても確信的な部分が違うので、どちらのエンディングが好みかは賛否が分かれるところです
しかし、どちらのラストも『ザブングル』らしく、またその後のストーリーが豊かになるであろうと感じる素晴らしいエンディングになっています
TV版を観た方でも劇場版はまだという方は、是非『ザブングルグラフィティ』も観てください!!
みんな 走れ!で別れです
『ザブングル』という作品は画面いっぱいにキャラクター達が走る・走る…とにかく走り回る作品です
観ているだけで感情がお腹いっぱいになり、観終わった後に〔あぁ〜…〕と大きな息をつきたくなるほど世界観に入り込めて、ある意味疲れる作品であります
しかし、逆に言えばこれ程までに自分の欲に忠実で、思いをぶつけて突き進む作品というのも少ないように思えます…いや、唯一無二です!
色んな柵(しがらみ)に囚われている現代、今・特に新型コロナウィルスの影響で学生の方は臨時休校で不安な思いをされていると思います
だからこそ『ザブングル』に登場するキャラクター達のように"パターン破り"で、暗い世の中を共にたくましく走り抜けましょう!
君は走るか、俺たちゃ走る!
GET IT!!
JUST RUNING!!!
みんな 走れ!!
次回予告 (※銀河万丈ボイスでお楽しみください。)
新型ウィルスの存在なぞ、ジロン・アモスに関係ございません
ウィルスの脅威を跳ね除けて、憎きティプンに迫ります
今、一世一代の大勝負
『ザブングル』を観てれば怖くはない
次回、『戦闘メカ ザブングル』
「みーんな『ザブングル』観て♪」
さて…!