1980年代の日本の音楽、City pop(シティポップ)が海外の音楽ファンの間で流行していることをご存知ですか
竹内まりや(Mariya Takeuchi)や山下達郎(Tatsuro Yamashita)の曲がYouTube上で半年間に800万再生されるほどの人気ぶりで、コメント欄の8割が海外からのコメントなのです
おそらくですが聴いているのは当時を知る世代の人だけでなく、80年代に生まれていなかった30代や20代の若者も含まれているのではないかと思われます
City pop(シティポップ)とは
主に1970年代後半から1980年代に流行した、都会のイメージを連想されるポップスの事をさします
またその多くが洋楽の影響を受け、独自に進化したサウンドとも言われています
当初はそれほど注目を集めるジャンルでは無かったのですが近年、海外の音楽ファンに認知され始めてきています
City pop(シティポップ)が今、熱いワケ
流行り始めた発端はVaporwave(ヴェイパーウェイヴ)やFuture Funk(フューチャーファンク)といったサンプリングを使った技法による新たな音楽ジャンルの登場でした
サンプリングとは過去の音楽を使い、再構築して新たな曲を作り出す技法のことらしいです
そしてVaporwave(ヴェイパーウェイヴ)やFuture Funk(フューチャーファンク)でCity pop(シティポップ)の楽曲が引用され始め、元ネタであるCity pop(シティポップ)に注目が集まったと言われています
流行の兆しは結構前からあり、自分も気づかぬうちに2年前に触れていました
それが『youは何しに日本へ』というテレビ東京系列で放送されている番組です
この番組は日本に来た外国人に密着する番組で2017/8/7の放送回に日本にレコードを買いに来た外国人に密着する回がありました
密着した外国人はYouTubeで日本の音楽を聴き、大貫妙子(Taeko Ohnuki)のアルバム『SUNSHOWER(サンシャワー)』を探しに日本に来たそうです
その外国人は松原みき(Miki Matsubara)も好きで、この番組をきっかけに自分は松原みきに興味を持ちました
City pop(シティポップ)と80's Anime(アニメ)の関係性
まぁここまでは音楽の話題であり、当ブログは80年代アニメについて書くブログなのでここから本題に入っていきます
なぜ私がCity pop(シティポップ)について記事を書こうと思ったのかと言うと海外の人がCity pop(シティポップ)の動画をYouTubeにUPされる時に80年代アニメのGIF動画を付けて投稿される動きがあるからです
なんでそんな流れが出来上がった経緯はわかりませんが私なりに理由を考えてみました
①当時を知らない世代の人にもCity pop(シティポップ)の世界観がイメージしやすいように使われている
②1980年代の日本カルチャーを知らない海外の人が比較的馴染みのある80年代アニメ映像を使用されている
③幼少期に見ていた日本のアニメとCity pop(シティポップ)の持つノスタルジーな部分を重ね合わせて見ている
④80年代アニメの光の表現(透過光)やセル画の配色がCity pop(シティポップ)とよくマッチする
透過光を使用したシーン、『タッチ』16話より
実際にYouTubeに投稿されているCity pop(シティポップ)の動画をいくつか見たのですが同じ年代の音楽と映像だけあって親和性も凄く高いです
アニメ映像の方が実写の映像を使うよりも想像力を掻き立てられ、City pop(シティポップ)の独特な世界観が意識しやすいような気がします
僕みたいな当時生まれていない者が懐かしいような感覚に陥るのは、そういった80年代アニメの映像の力が大きいからではと思います
80年代アニメとCity pop(シティポップ)の関係性は意外に深かったりします
1980年代に入ると今までの学童向けアニメ音楽から一転し、City pop(シティポップ)調のアニメソングが多数作られます
そしてCity pop(シティポップ)の名曲に携われたアーティストや作曲・編曲者の方々も参加されました
アニメのオープニング(Opening theme song)やエンディング(Ending theme song)の映像と非常に親和性高いCity pop(シティポップ)が沢山存在します
"80's Anime(アニメ)×City pop(シティポップ)"の素晴らしさを知ってもらいたい‼️
そこでCity pop(シティポップ)調の歌とアニメ映像がマッチした80年代アニメ楽曲を5曲セレクトして紹介したいと思います
80's Anime シティポップ5選
CITY HUNTER〜愛よ消えないで〜(CITY HUNTER -Ai yo kienaide-)/小比類巻かほる(Kahoru Kohiruimaki)
80年代アニメでCity pop(シティポップ)といえばまず思いつくのが『CITY HUNTER(シティーハンター)』でしょうか
アニメのOP,EDはもちろん、劇中に流れる曲までCity pop(シティポップ)色の強い楽曲と音楽にこだわりが光る作品です
また新宿という舞台がCity pop(シティポップ)の魅力を一層引き上げる効果があるように思います
シティーハンター第1シリーズのオープニング『CITY HUNTER〜愛よ消えないで〜』はCity pop(シティポップ)界ではお馴染みの小比類巻かほるさんが歌われています
イントロのインパクトと女性ながら力強い歌唱力は聴く人を惹きつけます
また獠と香の杖を使ったステッキダンスなどの映像が歌とマッチし、都会的なシーンを連想させてくれます
CITY HUNTER〜愛よ消えないで〜/小比類巻かほる(Kahoru Kohiruimaki)
Dancing with the sunshine/杏里(Anri)
『キャッツ♥アイ(CAT'S♥EYE)』といえばアニメの主題歌にJ-POPアーティストを起用する流れを作った作品であり、この作品以降のアニソンは大きく変わったと感じます
特に杏里(Anri)が歌う作品名と同じタイトルであるオープニング『CAT'S EYE』をイメージされる方が多いと思いますが今回はエンディングであるこっちを紹介します
来生三姉妹が奇抜なダンスを披露するというだけのアニメ映像ではあるがそれが妙に時代感と合っているように思います
エアロビクスとCity pop(シティポップ)には深いつながりがあるように感じませんか
また番組後半からは本曲の英語カヴァー版に切り替わり、また違った味わいのある曲になっています
Dancing with the sunshine/杏里(Anri)
『キャッツ♥アイ(CAT'S♥EYE)』は1984年3月で一度終了し、半年空いて1984年10月に再アニメ化されています(今のアニメでいう第1期、第2期という分け方)
その時のオープニングの『デリンジャー(Derringer)/刀根麻理子(Mariko Tone)』もCity pop(シティポップ)として素晴らしい楽曲です
オープニングの映像は来生瞳が"愛には不慣れな獣のようにふるえる"だけの映像であります(映像がとても過激な為、柔らかく表現しているのをお察しくださいませっ)
大胆で過激的な映像ですので観られる方は周りの環境を確認した上でご覧になられて下さい(なんで?とは言いませんが…)
デリンジャー/刀根麻理子(Mariko Tone)
Dang Dang 気になる(Dang Dang Ki ni Naru)/中村由真(Yuma Nakamura)
1988年に放送されていた『美味しんぼ(Oishinbo)』の後期オープニング
この曲自体がCity pop(シティポップ)というよりオープニングの映像がCity pop(シティポップ)の世界観に非常にマッチしているのです
作曲はCity pop(シティポップ)界の絶大的な人気を誇る「真夜中のドア〜Stay With Me/松原みき(Miki Matsubara)」や「SEPTEMBER/竹内まりや(Mariya Takeuchi)」などを手がけた林哲司さんが担当
夜の街をバックに流れるイントロにどんどん引き込まれていきます
街のネオンの光もCity pop(シティポップ)を象徴する記号だと思います
二番の〈ワープロをほら叩いていた指先が〉という少し時代を感じさせる歌詞も年月を重ねるごとに深みが増してくるように思えて凄く好きな歌詞です
Dang Dang 気になる/中村由真(Yuma Nakamura)
NIGHT OF SUMMERSIDE/池田政典(Masanori Ikeda)
『きまぐれ☆オレンジロード』(Kimagure Orange☆Road)のオープニングでアニメ放送が1987年4月6日スタートと『CITY HUNTER(シティーハンター)』とまったくの同年同日に始まったこともあり、本作も音楽に力を入れている作品です
池田さんの歌声は大人の香り漂う声の中にほんのりとした甘さがあるように感じます
【クーペ】や【ハイウェイ・ジャンクション】といったワードがいかにも80年代後半の歌という感じがしますね
作曲・編曲は新川博さんが担当されており、先程紹介した『キャッツ♥アイ(CAT'S♥EYE)』の「デリンジャー(Derringer)」の編曲もされています
アニメ映像は細かく映像が切り替わったり、映像と映像の間に白バックのスタッフクレジットを入れるサブリミナル効果を意識したかのような演出が取り入れらています
若干、目がチカチカして疲れるかもしれませんがそれも80年代という時代が伺える重要なエッセンスではないでしょうか
NIGHT OF SUMMERSIDE/池田政典(Masanori Ikeda)
『きまぐれ☆オレンジロード』(Kimagure Orange☆Road)には他にもシティポップ調の主題歌がありまして『鏡の中のアクトレス(Kagami No Naka No Actress)/中原めいこ(Meiko Nakahara)』やエンディングの『悲しいハートは燃えている(Kanashii Heart Wa Moeteiru)/和田加奈子(Kanako Wada)』などがあります
特に『鏡の中のアクトレス』のアニメ映像はカットが切り替わらずに進み、様々なシーンへと変貌していくといった現代でも稀に見る演出がされていますので一度観ていただきたいです
鏡の中のアクトレス/中原めいこ(Meiko Nakahara)
サファリアイズSAFARI EYES/松原みき(Miki Matsubara)
City pop(シティポップ)を語る上でこの人は外せないのではないでしょうか
1987年3月公開『劇場版ダーティペア(Dirty Pair:Project Eden)』のオープニング
松原みきといえば「真夜中のドア〜Stay With Me」や「ニートな午後3時(Neat na gogo san ji)」などの名曲がありますが「サファリアイズ」も外せない名曲です(個人的には「あいつのブラウンシューズ(Aitsu no brown shoes)」が好きです)
歌唱力の高さは抜群なことは当たり前としてどこかミステリアスな雰囲気を出す曲調がいいですね
映像も映画のオープニングとあってこれから起きる展開の想像を膨らませる演出に惹かれます
サファリアイズSAFARI EYES/松原みき(Miki Matsubara)
あと『劇場版ダーティペア(Dirty Pair:Project Eden)』のエンディング「パ・ド・ドゥpas de deux」も松原みきさんが歌っておられ、エンディングの曲と思えないほどとてもハイセンスな雰囲気に仕上がっています
エンディングの映像もケイとユリがグラスに裸で入り、脚を組み替えたりとちょっとエロティックであり、すごくオシャレなのです
合わせて聴いていただきたい二曲です
パ・ド・ドゥpas de deux/松原みき(Miki Matsubara)
City pop(シティポップ)が新しい時代を築く
ここで紹介した楽曲はほんの一部に過ぎません
City pop(シティポップ)調のアニメ主題歌を挙げていくと『キャッツ♥アイ(CAT'S♥EYE)』辺りからアニメシティポップの歴史は始まり、80年代後半から定着してきたのではないかと思われます
そして80年代は映像と音楽、それぞれが新しいことに挑んだ時代でもあると思います
その結果、海外の音楽ファンを引きつけるジャンルになったのではないでしょうか
今回の記事を書くためにCity pop(シティポップ)について調べたり、聴いたりとしていたわけなのですがCity pop(シティポップ)にはあの頃の輝きみたいなものが凝縮されているのではないと思います
City pop(シティポップ)を聴くだけで輝いていたあの頃に戻る、疑似体験出来る…
そういった過去に浸る感覚というのは当時の空気を知らなくとも感じれるような気がします
しかし、これは80年代好きの私の意見であってVaporwave(ヴェイパーウェイヴ)やFuture Funk(フューチャーファンク)を通ってCity pop(シティポップ)にたどり着いた若者は、City pop(シティポップ)を新しくジャンルの音楽と認識して聴いているかもしれません
もしそうだとしたら素晴らしい事だと思いませんか?
まぁそれでもまだまだ現在進行形な流れなので今後更なる動きがあるかもわかりません
もしかしたら80年代アニメが海外で大ヒットってこともあり得ない話ではないのでCity pop(シティポップ)を聴きながら今後の動きを見ていきたいと思います
City pop(シティポップ)記事、第二弾公開!!